俳句・随筆

俳誌に掲載された句と随筆のほか、静岡新聞読者のページ、文芸やいづで入選した俳句作品です。

風土集

・立春の浜さざ波の子守唄

・ぬか床の隅に隠れて蕪かな

・敷き詰めて地に薄紅の寒椿

・冬蝶の高く舞へるを追ひにけり

・梅東風や柔らかきこと母の笑み

(俳誌「風土」2018/4月号掲載分転載)

 

・初風呂や下五浮かびて湯に溶けて

・終はりなき俳諧の道青木の実

・初景色澄たる天へ身を反らす

・煤払い箪笥の裏に豆一つ

・冬日和銀の絹織る駿河湾

(俳誌『風土』2018/3月号掲載分転載)

 

・おでん酒だしたっぷりに黒はんぺん

・露天湯の暗き洞窟冬怒涛

・立冬のこころを空へ息をつく

・流れ雲瑠璃桃黄色冬茜

・連山や翳深くして冬の滝

 (俳誌『風土』2018/2月号掲載分転載)

 

・秋うらら親子をむすぶ影法師

・謡うかに仙石原のすすきの穂

・露天湯の湯気の向かうや秋の声

・冴え冴えと嶺の夕映え立ちつくす

(俳誌『風土』2018/1月号掲載分転載)

ー10行随筆ー

「別世界」

先日、思いがけず時代物の芝居を観る機会に得た。江戸ことばでやりとりする粋な台詞が新鮮だ。時間の経つのも忘れ、いつの間にか舞台の世界に入っていた。運よく桟敷の横が花道だったので、役者の顔を一瞬ではあるが見上げることもできた。きりっとした端正な顔立ち、真剣な眼差しにドキッとした。長時間だったが頃合いを見計らって笑いをとることも忘れていない。久しぶりに日常から離れたひと時を楽しんだ。

(俳誌『風土』2018/4月号掲載分転載)

 

「仕事はじめ」

正月明けから挿絵の依頼が約20点舞い込んできた。想像力が試される仕事だ。締め切りは、2週間後。アイデアが天から降りてくるなどと言っている余裕もない。外出を極力控え引きこもりで仕上げていく。下書きをチェックしてもらい何枚か描き直す。どうにか間に合いそうだ、と思っていたら一番大きな作品の色変更の要請が入り一から描き直し。右腕が筋肉痛になりながらも締め切り日に納品することができた。

 (俳誌『風土』2018/3月号掲載分転載)

 

「その魅力は」

我が家の玄関を出ると遠くに富士山が見える。かなり雪が積もってきたが、白い帽子をすっぽりかぶるのはいつ頃になるだろうか。近くの大井川の太平橋から眺める富士山は運が良ければ雲の上に浮いて見える。運転中に飛び込んでくるので短い時間しか見ることはできないが声に出るほど感動する。四季折々、違った表情を見せてくれる富士山。ざわついた日常を一瞬でも真っさらにしてくれる魅力は語り尽くせない。

(俳誌『風土』2018/2月号掲載分転載)

 

文芸やいづ

 俳句部門に応募し五句入選しました。

【青目高】

・湯上りに風鈴の音肌を打つ

・悠々とわずかな時を舞ふ蛍

・大鉢に背中の光る青目高

・昼の庭に凛と佇む立葵

・光り差し風と歌うや白き蓮

(文芸やいづ第28号掲載分転載)

静岡新聞/読者のページ「サロン・俳句・川柳」

・仲秋や野山ゆつくり色づいて

静岡新聞/読者のページ「サロン・俳句・川柳」2017/10/13 掲載分転載)