俳句

・野兎の足跡残る春スキー

・間合ひとる明けの明星冴ゆる月

・夜半の春言葉尽くして手紙書く

・風光る古城跡地に観覧車

・祝婚の声響きをる春の空

・頂は流るる雲か綿雪か

・露天風呂お国訛りの声冴えて

・冬の庭見つむ御殿の鬼瓦

・子規庵の襖の裏に記帳せり

・子規庵に寝転び仰ぐ枯れ糸瓜

・蜜柑剥く食ひ込む角度保ちつつ

・初富士を瞼の裏に描きをり

・初凪や白色重ね富士描く

・初空や明けの明星目の高さ

・年始酒蔵百年の大吟醸 

・除夜の鐘尖りしこころ丸くせり

・初霜やひかりやわらか絹の束

・手の平に風花触れて消えにけり

・干し蜜柑湯船に浸けて皺伸ばす

・富山路の大屋根深き冬の色

・秋嶺や両手を腰に深呼吸

・照りもみぢ能楽堂を覗きをり

・コスモスを守りし里の大欅

・身に入むや切れ目の深き珪化木

・色変へぬ松絶壁の東尋坊

・月光にすつくと立ちて黒き猫(行人抄掲載)

・夕陽染む親子の鯨秋の雲

・冬隣「地獄の門」に息止めて

・再会に街をステップ秋夕焼

・カーテンを透く月光に目覚めけり

・数珠玉に薄墨の空銀の月

・天高し飛行機雲は北東へ

・目覚めけりカーテンの間の月光に

・限りなし籠いつぱいの茗荷の子

・みちのくの月の夜道や飛蝗飛ぶ

・蚊遣火や記憶の渦の巡りをり

・山繭をおづおづ覗く穴の先

・高原の雲の切れ間や時鳥

・落ちさうに潤みて揺るる夏の月

・空一枚の暮色蒼然積乱雲

・先付のライムの香る初鰹

・糠床にしの字の胡瓜納まれり

・つる幾重あんどん朝顔咲き誇る

・天国を歩む心地や百合の里

・百合園の百合根ケーキに憩ひをり

・航空ショー見あぐ扇子を翳しけり

・燕くる茶畑の波すれすれに

・噛み切れぬ皮の光沢初鰹

・薄紅の薔薇のアーチのハート型

・蜜蜂の黄色き雄蕊転げゐて

・新じゃがのま白き肌を日に透かし

・港町鰹の看板初つばめ

・天守閣火灯窓より初夏の風

・桜えび漁船団の波飛沫

・しらす干すブルーシートの四隅まで

・SLの汽笛に目覚む姫すみれ

・白あんの透けて薄紅桜餅

・噛むほどに花菜おひたしほろ苦く

・そりかえる傘寿の指揮者鳥雲に(行人抄掲載)

・路地裏に牛鍋にほふ宵の春

・ 江戸っ子の粋な台詞や春祭り

・くきくきと和布の茎のお吸ひ物

・公魚の南蛮辛しむせにけり

・立春や上弦の月耿耿と

・氷川丸はタイムトラベル遠霞み

・マスク付け眼鏡かけをる誰彼そ

・野の春やカピバラ親子寄り添ひて

・あたたかや桃色五色水絵具

・鳥曇薄紅霞む水絵具

・蓋とるや菜の花香る茶碗蒸し

・立春の浜さざ波の子守唄

・ぬか床の隅に隠れて蕪かな

・敷き詰めて地に薄紅の寒椿

・冬蝶の高く舞へるを追ひにけり

・梅東風や柔らかきこと母の笑み

・初風呂や下五浮かびて湯に溶けて

・終はりなき俳諧の道青木の実

・初景色澄たる天へ身を反らす

・煤払い箪笥の裏に豆一つ

・冬日和銀の絹織る駿河湾

・おでん酒だしたっぷりに黒はんぺん

・露天湯の暗き洞窟冬怒涛

・立冬のこころを空へ息をつく

・流れ雲瑠璃桃黄色冬茜

・連山や翳深くして冬の滝

・秋うらら親子をむすぶ影法師

・謡うかに仙石原のすすきの穂

・露天湯の湯気の向かうや秋の声

・冴え冴えと嶺の夕映え立ちつくす

(俳句誌『風土』2018/1~2019/6 掲載文転載)

 

 

《俳句・鍛錬会》

風土・鍛錬俳句大会に初めて参加させていただきました。

勉強不足を感じながらも、先輩方の温かな励ましに勇気をいただきました。

(俳句誌「風土」2019/2 掲載文転載)


《文芸やいづ》

俳句部門に応募して5句入選しました。

 【初燕】

・梅一輪一番咲のゆるみ初む

 ・初燕港に鰹絵看板

 ・砂浜に潮風香る遠花火

 ・天高しさくさく歩く畔の道

 ・湯気立ちて海老芋香る雑煮椀

(文芸やいづ第29号掲載文転載)

 

 【青目高】

 ・湯上りに風鈴の音肌を打つ

 ・悠々とわずかな時を舞ふ蛍

 ・大鉢に背中の光る青目高

 ・昼の庭に凛と佇む立葵

 ・光り差し風と歌うや白き蓮

(文芸やいづ第28号掲載文転載)

 

 《静岡新聞/サロン・俳句掲載》

・鷺草の翔ぶが如くに羽広ぐ

 ・くきくきと和布の茎のお吸ひ物

 ・噛むほどに花菜おひたしほろ苦く

 ・仲秋や野山ゆつくり色づいて

 (静岡新聞/「サロン」俳句・川柳 2017/10-2018/8 掲載文転載)